スペシャルインタビュー OrangeLife VOL.10


オリンピックを目指すアスリート
齋藤学(サッカー・愛媛FC)×青野令(プロスノーボーダー・松山大学)


2人は同じ21歳のアスリート。
齋藤はロンドン、青野はソチオリンピックを目指し、日々成長を続けている。
ともに世界を見据える2人だが、それぞれの競技に対するスタンスは、対照的だ。

齋藤「大学と競技の両立は大変じゃない?大会に出て表彰式をして、次の日は授業っていうことも?」

青野「あります。大学は、スノボをする時間とはまた別の世界ですね」

齋藤「でも、オンオフがつくれるのかもね」

青野「かもしれない。今はシーズンオフの時期でもあるけど、今年は8月頃からアメリカで家を借りてトレーニングをします。それからシーズンもはじまるんです。歩いて練習場にいける環境で、いい練習ができるし仲間も増えたり、いい経験になります」

齋藤「僕も代表で海外遠征には行ったことがあるけど、まわりが日本人ばかりで海外っていうイメージじゃなかったかな」

青野「でも、サッカーは街で泊まるからいいよね。僕らは山奥だから、そういう意味では楽しくない(笑)。外国の友人とわいわいパーティーはするけど、コンビにまで車で行かないといけない環境だったりして」

齋藤「トレーニングでは新しい技に挑戦する?」

青野「今は技の難易度が高くなりすぎて、マットで練習したりいろんな方法が出てきましたね。サッカーでも好きな選手の真似をしたりするんじゃない?それと同じようなものかな」

齋藤「参考にするけど、サッカーは、同じ状況になることがほとんどないよね。似た状況があっても角度が違ったり、相手や芝の状況が違うと真似したくても完璧にすることは難しいかな」

青野「動きとか、走り方とかは?」

齋藤「それは意識するところもある。マンチェスター・ユナイテッドで最近点を取っているメキシコ代表の選手(ハビエル・エルナンデス)とか、小さいけど真似して動いてみたり。試合の前はモチベーションをあげたりする?それとも、何も考えない?」

青野「考えない方かな。試合前の練習で流れをつかんだり、その時にラインが崩れたら気をつけたりするけど」

齋藤「雪の硬さや柔らかさもあるの?」

青野「太陽が当たっている斜面は柔らかかったりする。こっちは硬い、こっちはめっちゃ柔らかいとかありますよ」

齋藤「聞かなきゃ分からないことだね。サッカーではそこまで意識しないかな。僕も、高校の時に授業でスノボをやったことありますよ。川崎に室内で滑れる場所があるんです」

青野「スノーヴァ溝の口かな。僕はサッカーは授業でやったくらい」

齋藤「サッカーとか、スポーツは何でもできそうだけど?」

青野「いや、球技はできないんです」

齋藤「僕もサッカー以外のスポーツは苦手で、スポーツ音痴っていうか。走るのはどう?」

青野「長距離が全然ダメ。短距離なら大丈夫だけど」

齋藤「筋トレをしたり、走ったり、トレーニングは?」

青野「筋トレは体を守る筋肉をつけるくらいで、そこまで追い詰めないかな。体操選手と比較されることがあるけど、それに比べて自己管理が甘いって言われることもあります。ただ、それを厳しくやって調子がよくなるかというと必ずしもそうじゃない。自分のリズムを崩さないようにして、調子を上げるところもありますね」

齋藤「感覚的なものもあるだろうしね。でも、ハーフパイプって怖くない?」

青野「初めてのときは怖いかもしれないけど、慣れれば大丈夫」

齋藤「1人でやる競技だから、緊張感がすごそう」

青野「個人競技の人からすると、団体競技の方が難しいと思う。逆に、1人1人に責任感があるような気がして」

齋藤「サッカーの場合はお互いにカバーできるし、自分の長所を認めてもらえる。愛媛FCは特にそういうところがあるチームだと思う」

青野「スノボは1回こけたらダメ。そういうところはつらいところでもあるけど、いいイメージをなるべく考えるようにします。悪いイメージが浮かんだ時は、内容を変えて対応したりする」

齋藤「バンクーバーオリンピックの時は、アメリカ人ですごい人がいたよね。飛び過ぎ、ってくらい」

青野「あの時は彼(ショーン・ホワイト)が優勝しなかったら、誰が優勝するのっていうくらいだった」

齋藤「サッカーはもうすぐロンドン五輪の予選が始まるけど、厳しい戦いになると思う。アジア予選もヨーロッパとは違う癖がある。でも、サッカーは団体だから勝って出場権を取れれば、僕もオリンピックの前に滑り込むこともできる。その分、個人競技の大会は大変だろうね。毎回PK蹴っているみたいな感じかな」

青野「それほど注目されてないと思うよ(笑)」

齋藤「俺ならドキドキしちゃう(笑)。メンタリティが強くないとダメだね。世界大会は楽しい?」

青野「楽しい。誰が上手いというよりも、自分次第で勝ったり負けたりする。今はまだオリンピックのことは意識していないかな。次のことだけ考えて、大会に出て目標ができていくみたいな。3年後、オリンピックに向けて今からどんどん積み重ねていく感じかな」

齋藤「ソチオリンピックは大丈夫そうだから、僕の方が出れるかな(笑)。僕は今年、愛媛でJ1を目指して、それから日の丸も。まずはロンドンオリンピックだけど、夢は大きく持っていたい。ソチオリンピックは2014年。サッカーはブラジルワールドカップの年だね。僕は25歳くらいでちょうどいい年齢。その年はオリンピックとワールドカップに、一緒に出よう!」

取材日/2011.6.7 協力/松山大学

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齋藤 学 (さいとう まなぶ)

1990年4月4日生まれ 神奈川県出身。
背番号27、ポジションはフォワード。
2007年のU-17ワールドカップ日本代表。横浜F・マリノスではJ1で23試合に出場。今季から愛媛に加入、ゴールを重ねて攻撃の軸となる。ドリブルからゴールを決めた湘南戦では、反町康治監督(北京五輪日本代表監督)が「愛媛のメッシ」と評した。
 
青野 令 (あおの りょう)

1990年5月15日生まれ 愛媛県出身。
06-07スノーボード・ワールドカップでは、ハーフパイプ種目で日本人初となる総合優勝を果たす。2009年の世界選手権ハーフパイプ男子優勝も日本人初の快挙。バンクーバーオリンピックにも日本代表選手として出場し、ファイナリスト9位に輝いた。現在は松山大学在学中。